POEA/DMWについて
POEA (Philippine Overseas Employment Administration) フィリピン海外雇用庁は2022年10月にDMW: Department of Migrant Workersの一部門となり、建物内部も改装が進み、ビル外壁もDMWへと変更になるとのことです。(写真は2015年6月撮影)
なお、フィリピンでは主にDMWと呼ばれることとなりましたが、日本ではまだPOEAを使う方が多いようです。当分は両方使用が望ましいです。
DMW(POEA)は設立の1982年から40年を経て、まさにフィリピンの海外就労者保護の機構として確立しました。ただ、官僚的な部分が多く残っているのは否めません。申請は余裕をもって進めたいものです。
※ POEAはDOLE(Department of Labor and Employment:労働雇用省)の監督に下にある政府機関です。
※ POEAの並列機関としてOWWA(Overseas Workers Welfare Administration:海外労働者福祉庁があります。
※ POEAの下部組織としてPOLOが世界各国・主要都市にあります。日本では東京と大阪にあります。
2023年4月、内装完了したPOEA/DMWを再訪してきました。全体としてすっきりと機能的に変わった感じです。
入り口の様子です。2015年当時とほぼ同じ角度からですが、冷房がよく効いていたのが隔世の感です。以前はとにかく暑かったです。
海外就労者の熱気もあるでしょうが、それはともかく治安の不安も大でしたが、今回の見学ではそれも感じられませんでした。(訪問は人材会社スタッフ同行ですが。)
予約システムの広がりやウエブでの手続きも進み、訪問の全体数が減ったのでしょうか。あるいは今後はコロナ後の海外状況から就労希望者がまた激増するのでしょうか。
エレベーターシステムも新しくなりました。上階のOWWAのオフィスフロアに移動です。
OWWA (Overseas Workers Welfare Administration) とは海外労働者福祉庁といって、海外就労者が全員加入する福利厚生制度で有効期間は2年です。海外就労中に更新が可能です。
OWWAによるPDOS (Pre-Departure Orientation Seminar) 出国前オリエンテーションセミナーが行われます。
壁には新大統領からの海外就労者への応援メッセージが。
「あなた方は単に経済的に家族に送金するだけのツールではありません。献身的な忍耐力と卓越した使命感で母国フィリピンのためにグローバルな舞台で活躍する価値があるのです。」
フィリピン共和国大統領 フェルナンド R. マルコス
新組織DMW (Department of Migrant Workers) 旧(POEA)のメッセージもあります。
VISION: ビジョン
DMWはOFW(Overseas Filipino Workers: 海外フィリピン人就労者)と家族の権利保護、福祉の向上と可能性を導き出し経済成長へ共同で取り組む国の礎である。
MISSION: ミッション
DMWはデジタルトランスフォーメーションによる海外就労者の申請業務の簡素化が進むことにコミットする。
再統合プログラム
スキル、知識、能力を引き出す国家的再統合プログラムと、安全と生産的なコミュニティの再統合を確立する。
訪問後記
POEAとはどんなところ?興味津々の2015年に初めて訪問。旧同僚の奥様が案内してくれました。異文化まっただ中での戸惑いもありましたが、やさしくフォローしてくださいました。タガログ語の通訳では本当にお世話になりました。
8年たったPOEAはDMWと名前も変わっていました。2023年の2回目の訪問です。
取引先人材会社のドライバーさんがタガログ語での通訳で、館内スタッフやセキュリティ係にも適切に対処してくださいました。
一人ではとても実現できるところではありません。フィリピンの方たちの多大な協力に感謝です。
POEA2015年の訪問に戻ります
フィリピンの制度上、海外で働くには送出し機関と呼ばれる人材会社に登録します。雇用主はその国のPOEAのbranch office(支部)であるPOLO(Philippine Overseas Labor Office)フィリピン海外労働局の審査を受けた後に登録されます。人材会社はPRA(Philippine Recruitment Agency)と呼ばれ、POEAの免許取得が必須でさらに定期的に審査を受け免許更新を行い認定された会社のみが活動できる仕組みになっています。POEA、POLO、PRAが連携して労働者を海外に送り出しているのです。
PPOEA館内には何カ所もこのようなポスターが貼られています。
Department of Labor and Employment and Philippine Overseas Employment Administration observe a NO GIFT - NO BRIBE POLICY
フィリピン労働雇用省と海外雇用省はいかなる贈答品禁止、賄賂禁止を遵守します。
敢えて表示すると言うことはまだ一部に残るとも解釈できます。ただし、発覚したら人材エージェンシーの免許は剥奪されるはずです。
POEAとPRA、および日本大使館の関係
申請の順番はPOLO→在留資格認定証→POEA→日本大使館となりますが、申請内容は両国では情報共有はしませんので、それぞれ指定された書類を提出しなければなりません。日本側申請からフィリピン申請、来日までの期間は4ヶ月〜6ヶ月かかります。長い期間を要してしまうのをご理解いただけたと思います。
エージェンシーの仕事は次に挙げられます。期間は2ヶ月ほどかかります。費用はエージェンシーによりますが概ね$1000〜$2000/人です。
- POLO/POEA申請書類の準備・作成
- POEA登録医療機関の健康診断受診手配
- POEAの来日前オリエンテーション手配(Pre-Departure Orientation Seminar)
- 在フィリピン日本大使館ビザ申請(Visa Stamping)
- 航空券手配(Securing of Plane Ticket)
- 強制保険加入手配(Compulsory Pre-Deployment Insurance)
- POEAへOEC(Overseas Employment Certificate)の申請
- OWWA(Overseas Workers Welfare Administration)の登録
当社は現地エージェンシーと組み情報の漏れがないように総合的にご支援をします。
こちらは2015年当時あったDirect Hireの申請窓口です。Name Hireと呼ばれていて、技術者や国際業務のフィリピン人は企業との直接雇用契約が可能でしたのでこのような体制がきていました。
2018年からのエージェンシーを通じたPOLOへの申請と変わり、費用もかかるようになりましたが、厳しい審査は不当労働防止や不適格雇用主の事前調査という意味では合理的と思います。
エージェンシーを通さずに個人でPOEA手続で成功したという体験談をブログで発表したりも見受けられますが、本人がPOEAと電話やメールで連絡してオリエンテーションや健康診断を自力でするには、交通事情やOA環境などもあり平易ではないようです。
高度専門職の場合は就労先が多国籍企業であったり、労働条件が外よりも明らかに良い場合はPOEAの推薦状がPOLOに送られ、例外的に認められます。
ですので、通常はエージェンシー経由で一貫したPOLO/POEAの申請をお奨めします。
※なおこの情報はアットコンシェルが独自に取材したものですので写真の転載は堅くお断りします。
POLOウエブサイトも参考にしておりますが、正確性を保証するものではありませんのでご了承ください。
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